基礎のコンクリートに、土でできた細い筋が縦に走っている。「これは何だろう」と検索して、この記事にたどり着いた方が多いと思います。

先に答えを言うと、それは蟻道(ぎどう)、つまりシロアリが土で作った通り道の可能性があります。ただし、泥はねや別の虫の跡と紛らわしいのも事実。そして一番大事なのは、本物かどうか確かめようとして壊さないことです。理由も含めて、床下を見てきた施工者の立場から順に説明します。

この記事でわかること

  • 蟻道(ぎどう)とは何か・できやすい場所
  • 泥はねやクロアリの土との見分け方
  • 見つけたときの正しい行動(壊さない・写真を撮る)

蟻道とは|シロアリが作る「土のトンネル」

蟻道とは、シロアリが土や自分の分泌物を固めて作るトンネルのことです。幅は数ミリから1センチほど。基礎や束石の表面に、土の筋が盛り上がって走っているように見えます。

なぜわざわざトンネルを作るのか。シロアリは体の表面が薄く、乾燥にとても弱い生き物だからです。光も嫌います。だから地中の巣から餌になる木材まで、外気に触れない「屋根付きの道」を自分で作りながら移動する。あれは道であると同時に、シロアリにとってのシェルターでもあるわけです。

逆に言えば、蟻道があるということは、その先に木材へ向かうルートが通っている(いた)ということ。床下でシロアリの活動を判断するとき、私たちが最初に探すのがこの蟻道です。

土台(木材) 基礎の立ち上がり 地面 蟻道 幅5mm〜1cmほどの 土のトンネル 地面から上へ、 途切れずに続くのが特徴
蟻道の断面イメージ:地面から基礎を伝い、木材(土台)に向かって伸びる

蟻道ができやすい場所

年間を通して床下に潜っていると、蟻道を見つける場所はだいたい決まっています。

基礎の立ち上がり

コンクリート基礎の垂直面です。シロアリはコンクリートそのものは食べませんが、地面から木材(土台)までの「壁」になるので、そこを乗り越えるために蟻道を伸ばします。床下側だけでなく、建物の外側に出ることもあります。

床下の束・束石まわり

床を支える束(つか)の周辺。地面から木部までの距離が短く、シロアリにとっては近道です。

配管まわり・基礎の継ぎ目

配管が基礎を貫通する部分や、コンクリートの打ち継ぎ部分のわずかな隙間。人の目が届きにくい場所ほど、きれいに伸びていることがあります。

玄関ポーチ・勝手口の土間の際

玄関まわりは構造上、土と木部が近い場所です。タイルの隙間や框(かまち)の際は、点検でも必ず確認するポイントです。

床下は普段見えませんから、住んでいる方が自分で確認できるのは、主に建物外周の基礎表面と玄関まわりということになります。家の外をぐるっと一周して基礎を眺めるだけでも、意味のある確認になります。

蟻道かどうかの見分け方|紛らわしいもの

「基礎に土の筋がある=シロアリ」とは限りません。現場でもよく間違えられるものがいくつかあります。

  • 雨の泥はね:地面近くに点々と付く汚れ。線ではなく飛沫状で、上に向かって「伸びて」いません。
  • クロアリが運んだ土:粒がバラバラでトンネル状になっていないことが多いです。
  • ジグモの巣・蜂の泥:袋状だったり、塊で付いていたりと、形が違います。

蟻道の特徴は、地面側から上へ向かって、途切れずに立体的に続いていること。断面が半円状に盛り上がり、一本の道としてつながっています。幅がほぼ一定なのもポイントです。

とはいえ、正直に言うと、乾いて古くなった蟻道と泥汚れの区別は、写真だけでは私たちでも迷うことがあります。「怪しいけど断定できない」で構いません。その状態で次の行動に進むのが正解です。

見つけたときにやってはいけないこと

ここがこの記事で一番伝えたいところです。

崩して中を確かめない

「壊して中にシロアリがいるか見ればいい」と思いますよね。気持ちは分かりますが、おすすめしません。蟻道を壊されたシロアリは、その場を放棄して別のルートに移動するだけだからです。表面上は「いなくなった」ように見えて、被害の入口が分かりにくくなる。点検する側からすると、壊されていない蟻道は活動状況を判断できる貴重な手がかりなんです。

殺虫スプレーを吹きかけない

羽アリのときと同じ理屈で、スプレーで駆除できるのは目に見えている範囲だけです。刺激を受けた集団が散らばり、かえって状況をつかみにくくなります。詳しくは羽アリの応急処置の記事に書いたとおりです。

放置もしない

壊すなと言いましたが、見なかったことにするのも違います。蟻道は「今すぐ家がどうにかなる」サインではありませんが、確認すべきサインではあります。慌てず、でも後回しにしない。その中間が正解です。

壊す前に、写真を1枚

では何をするか。スマホで写真を撮ってください。それだけで十分です。

  • 蟻道の場所が分かる引きの1枚(建物のどの面か分かるように)
  • 蟻道そのものの寄りの1枚
  • できれば長さの比較になるもの(指でもOK)を添えて

日付入りの写真が残っていると、点検に入る側は大いに助かります。「いつからあったか」「進行しているか」の判断材料になるからです。私たちが施工に入るときも、着工前・施工中・完了の写真付き報告書を標準でお渡ししているのは、床下のことは記録で残すしかないからです。見えない場所こそ、記録が守ってくれます。

まとめ|蟻道は「慌てず・壊さず・記録して相談」

蟻道はシロアリが乾燥を避けるために作る土のトンネルで、基礎の立ち上がり・束まわり・玄関の際にできやすいものです。泥はねと紛らわしいこともありますが、素人判断で断定する必要はありません。壊さず、写真を撮って、点検につなげる。この順番だけ覚えておいてください。

なお、建売住宅にお住まいの方の場合、点検・お見積りの窓口は、お住まいの元請け(購入元)になります。蟻道らしきものを見つけたら、撮った写真とあわせてまず元請けに相談してみてください。

よくある質問

蟻道を壊して中を確認してもいいですか?

おすすめしません。蟻道を壊すとシロアリが別のルートに移動し、被害の入口が分かりにくくなります。壊さずに写真を撮り、点検につなげるのが正解です。

蟻道があったら必ずシロアリがいるのですか?

限りません。使われなくなった古い蟻道や、泥はね・クロアリの土と紛らわしいケースもあります。地面から上へ立体的に途切れず続いているかが目安ですが、断定は床下点検で行います。

蟻道は家のどこを確認すればいいですか?

ご自身で確認できるのは建物外周の基礎表面と玄関まわりです。床下の内部は点検で確認します。建売住宅の場合、点検の窓口はお住まいの元請け(購入元)です。

この記事を書いた人|ホームキーパー施工チーム

年間約4,000件の建売住宅の床下と排水管を点検・施工する、建物ケア専門の施工チーム。しろあり防除施工士が在籍し、公益社団法人 日本しろあり対策協会の認定薬剤を使用。再委託しない自社施工で、着工前・施工中・完了の写真付き完了報告書を標準でお渡ししています。建物ケアという考え方 →

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