日本の住宅で被害が多いシロアリは、主にヤマトシロアリ・イエシロアリ・アメリカカンザイシロアリの3種類です。見分けるポイントは「羽アリが飛ぶ時期」「羽アリの色」「被害が出やすい場所」の3つ。この記事では、建売住宅の床下を点検してきた施工者の立場から、種類ごとの特徴と見分け方、それぞれに合った予防の考え方を整理します。
この記事でわかること
- 日本で被害が多いシロアリ3種類の特徴
- 羽アリの時期・色・場所での見分け方
- 予防2工法(バリア・ベイト)と日常でできること
日本で被害が多いシロアリは3種類
シロアリと一口に言っても、世界には数千種いるとされます。ただ、日本の家で実際に問題になるのは、ほぼ次の3種類です。
| 種類 | 羽アリが飛ぶ時期 | 羽アリの色 | 被害が出やすい場所 |
|---|---|---|---|
| ヤマトシロアリ | 4〜5月の昼間 | 黒褐色(羽は半透明) | 床下・水回りなど湿った木部 |
| イエシロアリ | 6〜7月の夕方〜夜 | 黄褐色(灯りに集まる) | 建物全体に及ぶことがある |
| アメリカカンザイシロアリ | 梅雨明け〜秋ごろ | 頭部が赤褐色〜暗褐色 | 屋根裏・家具など乾いた木部 |
シロアリ本体(働きアリ)はどの種類も白っぽく、見た目で区別するのは正直むずかしいです。だから私たちも、種類を推測するときはまず「いつ・どこで・どんな色の羽アリが出たか」を手がかりにします。ここから一種類ずつ見ていきます。
種類ごとの特徴と見分け方
ヤマトシロアリ|4〜5月の昼間に飛ぶ、黒っぽい羽アリ
日本でいちばん多いのがこのヤマトシロアリで、ほぼ全国に分布しています。私たちが床下点検で出会うのも、大半はこの種類です。
羽アリが飛ぶのは4〜5月、雨上がりの昼間が多い。体は黒褐色で、羽はうっすら透けています。「春の昼に、黒っぽい羽アリが一斉に出た」なら、ヤマトシロアリの可能性がまず高いと考えてください。
湿気を好む性質があるので、被害は床下や浴室・洗面所まわりなど、湿った木部に集中します。決まった大きな巣を作らず、湿った木材そのものを巣にしながら広がっていくのが特徴です。
イエシロアリ|6〜7月の夜、灯りに集まる黄褐色の羽アリ
イエシロアリは、関東以西の温暖な沿岸部を中心に分布しています。羽アリが飛ぶのは6〜7月、時間帯は夕方から夜。黄褐色の羽アリが灯りに集まってくるのが目印です。ヤマトシロアリとは時期も時間帯も色も違うので、ここは見分けやすいところです。
やっかいなのは、水を自分で運ぶ能力があること。湿った場所に限らず、乾いた木部にも被害を広げられるため、放っておくと範囲が建物全体に及ぶことがあります。塊状の大きな巣を作るのもこの種類の特徴です。
アメリカカンザイシロアリ|乾いた木に住み、砂粒状のフンを落とす
名前のとおり乾材(かんざい)、つまり乾いた木材の中で生きられる外来種です。土とつながる必要がないので、床下ではなく屋根裏や柱の上部、家具から見つかることもあります。
羽アリは梅雨明けから秋にかけて、少数ずつ飛ぶことが多く、頭部が赤褐色〜暗褐色をしています。分かりやすいサインは、木材の下に落ちる砂粒のような乾いたフン。掃除しても同じ場所に粒状のものがたまるなら、このシロアリを疑う手がかりになります。蟻道を作らないことが多く、床下点検だけでは見つけにくい相手でもあります。
クロアリの羽アリと間違えないために
春から夏は、シロアリではない普通のアリ(クロアリ)の羽アリも飛びます。見分けるポイントは3つです。
- 触角:シロアリは数珠状でまっすぐ。クロアリは「く」の字に曲がる
- 羽:シロアリは4枚がほぼ同じ長さ。クロアリは前の羽が大きい
- 胴:シロアリは寸胴。クロアリは腰が細くくびれている
肉眼で迷ったら、スマホで写真を撮って拡大するのが確実です。羽アリを見つけたときにやってはいけないこと(殺虫スプレーなど)は、羽アリの応急処置の記事で詳しく書いているので、そちらも参考にしてください。
予防の方法|バリア工法とベイト工法
シロアリの予防・駆除には、大きく2つの工法があります。どちらが優れているというより、建物や状況に合わせて選ぶものです。
バリア工法(薬剤処理)
床下の土壌や木部に薬剤を処理して、シロアリの侵入経路に「壁」を作る方法です。現在もっとも一般的な工法で、即効性があります。薬剤の効果はおおむね5年が目安とされていて、新築時の予防処理もこの方式が中心です。私たちの施工でも、公益社団法人 日本しろあり対策協会の認定薬剤を使用しています。
ベイト工法(毒餌の設置)
建物の周囲にベイト剤(毒餌)を設置し、働きアリに巣へ持ち帰らせて、巣ごと駆除する方法です。薬剤を散布しないぶん、効果が出るまでに時間はかかりますが、巣そのものにアプローチできるのが特徴です。
日常でできること
工事以外にも、リスクを下げるためにできることはあります。
- 床下の換気口の前に物を置かない
- 庭や家の際に、木材・段ボールを地面に直置きしない
- 雨漏りや水漏れに気づいたら早めに直す
どれも「湿気と餌を家のそばに置かない」ための工夫です。特別なことではありませんが、効果はあります。
まとめ|時期・色・場所で見当をつけて、記録を残す
シロアリの種類は、羽アリが飛ぶ時期(春の昼か、初夏の夜か、夏以降か)、羽アリの色(黒か、黄褐色か、頭が赤いか)、そして出た場所で、ある程度の見当がつきます。ただし種類の断定まで自分でする必要はありません。見つけたら慌てず、日付が分かる形で写真を撮っておく。それが点検する側にとって、いちばんありがたい情報になります。
なお、建売住宅にお住まいの方の場合、点検やお見積りの窓口は、お住まいの元請け(購入元)になります。羽アリやフンらしきものに気づいたら、撮った写真とあわせて、まず元請けに相談してみてください。
よくある質問
春の昼間に黒っぽい羽アリが出ました。シロアリですか?
「4〜5月・昼間・黒褐色」はヤマトシロアリの羽アリに多い組み合わせです。数匹をサンプルに残し、写真とあわせて点検の際に見せると特定が早くなります。
シロアリの働きアリを見て種類は分かりますか?
働きアリはどの種類も白っぽく、見た目での区別は困難です。羽アリが飛んだ時期・色・出た場所の3点から推測するのが現実的です。
バリア工法とベイト工法はどちらがいいのですか?
優劣ではなく、建物や状況に合わせて選ぶものです。即効性のあるバリア工法が現在の主流で、新築時の予防処理もバリア工法が中心です。
この記事を書いた人|ホームキーパー施工チーム
年間約4,000件の建売住宅の床下と排水管を点検・施工する、建物ケア専門の施工チーム。しろあり防除施工士が在籍し、公益社団法人 日本しろあり対策協会の認定薬剤を使用。着工前・施工中・完了の写真付き完了報告書を標準でお渡ししています。建物ケアという考え方 →