シロアリ防除工事と聞いて、何をする工事なのか具体的に思い浮かぶ方は少ないと思います。実際には「予防」と「駆除」で目的が分かれていて、施工方法も土壌処理と木部処理の2つが柱です。そして効果には期限があり、目安は約5年。この記事では、年間を通して建売住宅の床下に入っている施工者の立場から、防除工事の中身を順に説明します。
この記事でわかること
- 防除工事の「予防」と「駆除」の違い
- 土壌処理・木部処理という2つの施工方法の中身
- 見積書で確認したい3つのポイント
シロアリ防除工事の「予防」と「駆除」の違い
防除工事には、大きく2つの目的があります。
- 予防(予防処理):シロアリが侵入する前に、薬剤で建物の周りと床下に「入りにくい状態」を作っておく工事
- 駆除(駆除処理):すでに侵入したシロアリを退治し、被害の進行を止める工事
現場の感覚で言うと、この2つは同じ「薬剤散布」でも中身がかなり違います。予防は決まった手順で淡々と、全体をむらなく処理していく仕事。駆除は被害箇所を特定して、蟻道や被害材を追いかけながら処理する、いわば探索込みの仕事です。
新築の建売住宅には、建てたときに予防処理がされているのが一般的です。つまり多くのご家庭にとって次に関係するのは、「その予防の効果が切れる前に、もう一度予防する」というタイミングの話になります。
プロが行う2つの施工方法
土壌処理|地面からの侵入経路を絶つ
シロアリの多くは地中から入ってきます。だから床下の土壌やベタ基礎の表面、基礎の立ち上がり際、束石の周りに薬剤を処理して、侵入経路そのものをふさぎます。配管が床下を貫通している部分など、隙間ができやすいところは特に丁寧に。ここを雑にやるかどうかで、防除工事の質は決まると思っています。
木部処理|土台や柱を直接守る
床下の土台・大引きといった木部に薬剤を吹き付けたり、必要に応じて小さな穴を開けて内部に注入したりする処理です。浴室まわりや玄関まわりは構造上湿気がたまりやすく、シロアリにも好まれやすいので、重点的に処理します。
どちらの処理も、使う薬剤は公益社団法人 日本しろあり対策協会の認定薬剤です。「薬剤」と聞くと不安になる方もいますが、認定薬剤は安全性と効果の基準を満たしたもので、処理する場所も床下が中心。日常の生活空間に直接触れるものではありません。
費用は建物ごとに違う|見積書で見てほしいところ
費用について、この記事では具体的な金額を書きません。建物の面積・構造・床下の状況・予防か駆除かで変わるので、一律の数字はかえって誤解のもとだからです。
代わりに、見積書を受け取ったときに見てほしいところを挙げておきます。
- 処理の内訳が書かれているか:「シロアリ防除一式」だけでなく、土壌処理・木部処理など何をどこにやるのかが分かるか
- 面積の根拠:施工面積が図面や現地調査に基づいているか
- 薬剤名:使用薬剤が明記されているか(協会認定かどうかの確認もできます)
なお、建売住宅にお住まいの方の場合、見積りや費用のご相談の窓口は、お住まいの元請け(購入元)になります。
施工会社を見るときのポイント
私たち自身が「見られる側」なので、同業の目線でお伝えします。信頼できる施工かどうかは、次の点に表れます。
- 日本しろあり対策協会への加盟や、しろあり防除施工士などの資格者がいるか
- 写真で説明してくれるか:床下の状況は写真でしか共有できません。着工前・施工中・完了の写真を残す会社かどうかは大きな分かれ目です。私たちが写真付きの完了報告書を標準でお渡ししているのも、これが理由です
- 不安を煽らないか:「今すぐやらないと大変なことになる」と急かす説明は、それだけで疑っていい。床下の状態は写真と事実で説明できるはずです
なぜ「5年ごと」が目安なのか
シロアリ防除の薬剤効果は、一般的に約5年とされています。昔の薬剤より安全性を優先した結果、いつまでも効き続けるものではなくなった、という背景があります。
つまり、新築時の予防処理も5年前後で効果が薄れていきます。「新築から5年」「前回の施工から5年」が、点検と再処理を考えるタイミングです。何ともなく見えても、床下のバリアは静かに期限を迎えます。詳しい仕組みは「シロアリ予防はなぜ5年ごと?」の記事で書いています。
まとめ|防除工事は「切れる前にかけ直す」メンテナンス
シロアリ防除工事は、被害が出てから慌ててやるものではなく、効果が切れる前にかけ直しておく定期メンテナンスです。予防と駆除の違い、土壌処理と木部処理、5年という期限。この3つを知っておくだけで、見積書や点検報告の内容がぐっと読みやすくなるはずです。
建売住宅にお住まいの方は、点検・お見積りの窓口は、お住まいの元請け(購入元)です。新築から5年が近い方は、一度相談してみてください。
よくある質問
シロアリ防除工事とは何をする工事ですか?
目的別に「予防(侵入前にバリアを作る)」と「駆除(侵入後に退治する)」があり、施工方法は土壌処理と木部処理の2つが柱です。新築の建売住宅には建築時に予防処理がされているのが一般的です。
使う薬剤は体に悪くないですか?
使用するのは公益社団法人 日本しろあり対策協会の認定薬剤で、安全性と効果の基準を満たしたものです。処理場所も床下が中心で、日常の生活空間に直接触れるものではありません。
費用はどのくらいかかりますか?
建物の面積・構造・床下の状況・予防か駆除かで変わるため、一律の金額では示せません。建売住宅にお住まいの場合、見積りのご相談窓口はお住まいの元請け(購入元)です。
この記事を書いた人|ホームキーパー施工チーム
年間約4,000件の建売住宅の床下と排水管を点検・施工する、建物ケア専門の施工チーム。しろあり防除施工士が在籍し、公益社団法人 日本しろあり対策協会の認定薬剤を使用。着工前・施工中・完了の写真付き完了報告書を標準でお渡ししています。建物ケアという考え方 →