台所の流れが遅い。排水口がにおう。パイプクリーナーを流しても、数日で元に戻る。そんなときに選択肢へ挙がるのが、排水管の高圧洗浄です。
先に結論を言うと、高圧洗浄の効果は「管の内壁にこびりついた汚れの層を、水の力で剥がして流す」ことに尽きます。表面を溶かす市販の薬剤とは、落とせる汚れの深さが違うんです。管の中で実際に何が起きているのか、施工する側の目線で順に説明します。
この記事でわかること
- 高圧洗浄で汚れが落ちる仕組み(後方噴射ノズル)
- 詰まり・悪臭など4つの効果と適用範囲
- 築年数が古い配管での注意点
排水管高圧洗浄とは|ノズルは「後ろ向きの噴射」で進む
高圧洗浄と聞くと、外壁掃除のように正面から水を吹き付ける様子を思い浮かべるかもしれません。排水管の場合は少し違います。
使うのは、細いホースの先端に付けた管内洗浄用のノズルです。このノズルには後ろ向きの噴射口が開いていて、水を後方へ噴き出す反動で、ホース自体が管の奥へ奥へと進んでいきます。曲がりの多い排水管の中を進めるのは、この仕組みのおかげです。そして奥まで到達したら、今度はゆっくり引き戻しながら、後方噴射で管の内壁をぐるりと洗っていく。進みながら道を開け、戻りながら壁を洗う。これが基本の動きです。
では何を落としているのか。管の内側には、長年かけて汚れが層になって付いています。キッチンなら冷えて固まった油脂、浴室なら石鹸カスと髪の毛が絡んだ塊、場所によっては水中の成分が固まったスケールと呼ばれる付着物。これらは管の壁に張り付いているので、水を流しても薬剤をかけても、表面が少し痩せるだけで層そのものは残ります。高圧洗浄はこの層を壁から引き剥がし、水と一緒に排出します。よく「排水管のデトックス」と言われるのは、この「溜まったものを根こそぎ出す」働きのためです。
排水管高圧洗浄の4つの効果
1. 詰まりの原因を層ごと取り除く
流れが悪くなる原因は、何かが管を塞ぐことよりも、内壁の汚れで管が「細くなる」ことのほうが多いです。内径が半分になれば、当然流れは目に見えて悪くなります。薬剤は汚れの表面を溶かすところまで。高圧洗浄は層ごと剥がすので、管が本来の太さに戻ります。洗浄の前後で水の引き方が変わるのは、管の断面積が戻ったからです。
2. 悪臭・害虫の発生源を断つ
排水口のにおいの元は、目に見える排水口まわりよりも、管の内壁に付いたヘドロ状の汚れ(スカムと呼びます)であることが多いです。チョウバエなどの小さな虫も、ここを繁殖場所にします。目に見える部分だけ掃除してもにおいが戻るのは、奥の発生源が残っているから。内壁ごと洗い流せば、においも虫も元から断てます。
3. 配管を傷めにくい状態を保てる
汚れを溜めたまま使い続けると、詰まるたびに強い薬剤を流したり、針金などで無理に突いたりと、管に負担のかかる対処を繰り返すことになりがちです。定期的に洗って素の状態へ戻しておくほうが、結果として配管には優しい。長く使う設備ほど、この差が効いてきます。
4. 薬剤に頼らず衛生を保てる
高圧洗浄が落とすのは水の力だけです。強い薬剤を繰り返し流す必要がないので、管にも環境にも負荷が少ない方法と言えます。物理的に汚れを取り除いてしまえば、細菌やカビの足場そのものがなくなります。
どこまで洗える?高圧洗浄の適用範囲
高圧洗浄が対応できるのは、キッチン・浴室・洗面所・洗濯機まわりといった屋内の排水管だけではありません。実際の作業では、屋外にある排水桝(ます)のフタを開け、そこからホースを入れて家の外側の管も洗います。屋内の各水まわりから桝まで、桝から敷地の外へ出ていくまで。家全体の水の通り道を一度に洗えるのが、この方法の持ち味です。
雨どいや屋外の管に溜まった落ち葉・土砂も対象になります。台所の油、浴室の髪の毛、外の泥。汚れの種類が違っても、壁から剥がして流すという原理は同じです。
古い配管での注意点|圧力は「強ければいい」ではない
ひとつ、正直に書いておきたい注意点があります。高圧洗浄の水圧は、使い方を誤れば管そのものを傷めかねない力だということです。
特に築年数が経った建物では、管の材質が古かったり、継ぎ目が緩んでいたりすることがあります。そこへやみくもに強い圧をかけるのは危険です。だから私たちは、洗浄の前に管の状態を確かめ、材質や劣化具合に合わせて圧力を調整します。強く洗うことより、傷めずに洗いきることのほうがずっと大事です。
「家庭用の高圧洗浄機で代用できませんか」と聞かれることもあります。外まわりの掃除には便利な道具ですが、排水管には向きません。管の奥まで届くホース長と、後方噴射で自走する管内用ノズルがないと、いちばん汚れている奥の区間に手が届かないからです。
まとめ|高圧洗浄は「管の壁を素に戻す」作業
排水管高圧洗浄の効果をひとことで言えば、内壁の汚れの層を剥がして、管を本来の太さと状態に戻すこと。詰まり・悪臭・害虫の元をまとめて取り除け、配管を傷めにくい状態で長く使うことにつながります。一方で、古い配管では圧力の見極めが要るため、状態の確認とセットで行うのが前提です。
なお、建売住宅にお住まいの方の場合、点検・お見積りの窓口は、お住まいの元請け(購入元)になります。流れの悪さやにおいが気になったら、症状をメモして、まず元請けに相談してみてください。
よくある質問
家庭用の高圧洗浄機で排水管を洗えますか?
排水管には向きません。管の奥まで届くホースの長さと、後方噴射で自走する管内洗浄用ノズルがないと、いちばん汚れている奥の区間に届かないためです。
高圧洗浄で配管が傷むことはありませんか?
水圧は強力なので、圧力の見極めが重要です。洗浄前に管の状態を確認し、材質や劣化具合に合わせて圧力を調整したうえで行うのが前提です。
高圧洗浄はどこまで洗えますか?
キッチン・浴室などの屋内配管から、屋外の排水桝、敷地の外へ出るまでの管まで、家全体の水の通り道を一度に洗えます。
この記事を書いた人|ホームキーパー施工チーム
年間約4,000件の建売住宅の床下と排水管を点検・施工する、建物ケア専門の施工チーム。しろあり防除施工士が在籍し、公益社団法人 日本しろあり対策協会の認定薬剤を使用。着工前・施工中・完了の写真付き完了報告書を標準でお渡ししています。建物ケアという考え方 →